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耐震診断・改修について

1.木造住宅の構法と構造特性

同じ木造でも構法の違いによって建物の構造特性は大きく異なります。

伝統構法…筋かいや金物を用いず、基礎は石場建ち、壁要素は主に土壁であり、

 柱と梁は「貫」または「ほぞ」にて接合されている伝統的な木造軸組構法。(図8a)

 耐力は小さいが変形能力の大きい軸組です。


在来工法…伝統構法を簡略化・発展させた筋かいや金物を使った在来木造軸組工法。

 耐力は大きいが変形能力は小さい軸組です。一般的な現在の木造住宅の工法。

(伝統構法)

(在来工法)

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伝統構法の基礎

​(礎石立て)

伝統構法の壁

​(土壁)

構法別の耐震性能イメージ

――​―:在来工法の特性

―​―​―:伝統構法の特性

耐震性能.jpg

2.古い住宅の耐震診断

例えば、全国に普及している木造住宅の一般的な耐震診断法は、在来工法で建てられた建物を対象にして作られているため、構造特性の異なる伝統構法の住宅では、耐震診断法が適しておらず、ほとんどの場合、倒壊するという判定が下ります。つまり、耐震性能がもっと高い場合がほとんどです。

 

伝統構法の住宅に対して一般的な耐震診断法に沿った耐震補強を行うと大量に壁を増やす必要があり、間取りの自由度は減少し、工事も大掛かりになり、工事費も膨らみます。

結果、耐震改修が見送られることが多いです。

一方で、伝統構法の住宅を対象にした耐震診断法(限界耐力計算による耐震設計法)であれば評価は大きく異なります。

その設計法を使った耐震補強計画では工事の規模も抑えることができ、耐震改修の可能性が高くなります。

構法に適した耐震診断方法で判定し、古い住宅の価値を適切に評価することが重要です。

一般的な耐震補強方法

(保有耐力診断法)

在来工法

指標:耐力

限界耐力計算による

耐震補強方法

伝統構法

指標:変形

3.限界耐力計算による設計法を使った耐震補強

加古川の家の主な耐震補強

・荒壁パネル…土壁と似た特性を持ち、振動エネルギーを吸収する

・格子壁…開放性を保ちつつ、振動エネルギーを吸収する

・筋交い…小屋裏に設置し、耐力を確保する

・耐震リング…床下に設置し、振動エネルギーを吸収するダンパー

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荒壁パネル

格子壁

筋交い

耐震リング

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